検索順位に大きな変動があったわけでもないのに、「検索からの流入が減った」「コンバージョンが落ちている」という声を聞く機会が増えています。

この背景には、ユーザーが「検索」以外の手段で情報を得るようになっている現実があります。特に、ChatGPTやGeminiのような生成AIは、ユーザーの「調べる」という行為自体を変えつつあります。たとえば、「おすすめのツールを教えて」と聞けば、ランキングや比較表、特徴まで簡潔に教えてくれる。これは、複数サイトを検索・閲覧・比較するという従来の行動を省略していることになります。

Googleもこの流れに合わせ、「AIO（AI Overviews）」という機能を導入。検索結果ページに、AIによる要約やまとめが表示されるようになりました。ユーザーはリンクをクリックすることなく、上部の要約で満足してしまうケースも増えています。

生成AIを活用した情報取得が当たり前になり始めている今、従来型の「記事の質を上げる」「検索順位を上げる」といったSEO施策だけでは、ユーザーの“行動の入口”を捉えきれなくなっている、つまり変化に対応しきれないフェーズに入ってきているといえるでしょう。

こうした状況下では、「検索されるのを待つ」のではなく、「自ら届けに行く」攻めの集客戦略が必要になります。具体的には以下のような手法が有効です。

• 自社SNSアカウントによる継続的な情報発信
  ターゲット層に合わせたプラットフォームで積極的に情報を提供し、ファンを育成します。

• メールマガジンやLINE公式アカウントによる直接配信
  ユーザーとの直接的な関係性を構築し、パーソナライズされた情報を届けます。

• 資料請求・イベント・動画など多様な接点の活用
  ウェビナー、ホワイトペーパー、YouTubeなどの動画コンテンツを通じて、多角的にユーザーとの接触機会を増やします。

重要なのは、ユーザーとの“関係性”をベースにした導線を設計し、「検索に依存しない接触機会」を増やすこと。
また、ユーザーの関心を引きつける「診断コンテンツ」や「チェックシート」など、参加型・体験型のコンテンツを用意することも有効です。こうしたコンテンツは、AIによる要約では伝えきれない“個別性”や“活用体験”を提供できるため、検索に頼らないアプローチとして注目されています。

生成AIの普及とGoogle検索の変化は、企業にとって「情報の届け方を見直すべきタイミング」であることを示しています。SEO一本足では通用しにくくなっている今、自社ならではの価値ある情報を、適切なチャネルで届けていく戦略が欠かせません。

まずは、自社で活用しているチャネルや導線を棚卸しし、「検索に頼らない情報設計」ができているかを確認してみてはいかがでしょうか。