OCEANパーソナリティ診断を監修!心理学博士 谷伊織先生に聞く診断コンテンツの今

診断コンテンツはマーケティング手法のひとつとしても活用でき、近年注目を集めています。
ライトアップでは2024年3月に「OCEANパーソナリティ診断」を公開し、NHK「あさイチ」でも取り上げられ話題となりました。今回は、診断制作に監修としてご協力いただいた愛知学院大学 心理学部心理学科 准教授 谷 伊織先生に、パーソナリティ心理学やビッグファイブ理論についてお話を伺いました。

INDEX
行動パターンの傾向を総合的に研究する「パーソナリティ心理学」
調査の企画段階から積み重ね、おおよそ1年~2年かけて研究していく
ビッグファイブ理論のどの因子も高いからいい、低いから悪いというわけではない
年齢によってパーソナリティは変化していく

行動パターンの傾向を総合的に研究する「パーソナリティ心理学」


──谷先生が専門で研究されている「パーソナリティ心理学」とはどのような学問なのでしょうか?




本当はこの辺りの話をすると本を1~2冊読むような内容になってしまうのですが……まず心理学では、人の行動パターンのことを「性格」と定義しています。この、ある程度の時間や場面を通した一貫性が認められる行動パターンがどのように作られているのか、パーソナリティの違いによって病気になりやすいなどの傾向があるのか、そういったことを総合的に学ぶのがパーソナリティ心理学です。
よく、世の中は「明るい人」と「暗い人」の2種類に分けられると誤解されるのですが、実際にはそうはいきません。「すごく明るい人」もいれば「すごく暗い人」もいて、かなりグラデーションがあります。また、一度の行動で性格を判定するのではなく、ある程度行動を見て測定していきます。

──「性格」というのはアウトプットとして表れるものなのですね。

そうですね。もちろん心の中にはいろいろなものが渦巻いていると思うのですが、基本的には行動パターンですよね。動物を見ていると、彼らは喋らないけれどそれぞれ個性がありますよね。よく鳴く猫もいれば鳴かない猫もいる。探索範囲が広い動物もいれば狭い動物もいる。こういったものが行動パターンだと考えると分かりやすいと思います。

──それを測定するのが心理尺度で、「OCEANパーソナリティ診断」で用いたビッグファイブ理論もその1つということですね。

ビッグファイブ理論の5因子


そういうことです。心理尺度とは物差しのようなもので、測定をするときには心理検査を行います。質問をしたり、絵を描いたりして測定するものがありますね。
ちなみに、パーソナリティ心理学には、どうやって測定するのか、いくつの物差しを使うのかといったものを研究する基礎研究と、実際に働く現場などでどう役立てるかというのを研究する応用研究があります。応用研究は教科書などにはほとんど載っていないのですが、実際にはさまざまな分野で研究されています。以前、ある教育機関と学習スタイルと性格の関係について共同研究を行ったことがあります。ビッグファイブ理論の外向性の因子でいうと、外向的な子どもはグループディスカッションを好み、内向的な子どもは静かな場所で落ち着いて勉強するのを好む傾向があることが分かりました。教育機関はその結果をもとに、子どもに適した学習スタイルをアドバイスしていたようです。

調査の企画段階から積み重ね、おおよそ1年~2年かけて研究していく


──性格と行動パターンの関連性をどのように調査するのでしょうか?
調査に必要なデータはさまざまなアンケート調査で収集しますが、「何を目的として調査するのか」「性格特性から何を知りたいのか」などが明確になっていないと適切なアンケートが実施できません。質問項目の検討や妥当性の精査など、調査の企画段階から1つずつ積み上げていくような感じですね。その後、集まったデータを分析して性格との関連性や傾向を導き出し、初めて応用研究の成果が活用できる状態になるのです。

──そういった一連の研究は、どれくらいかかるのでしょうか?

大体1年から2年くらいですね。最近、電機メーカーとの共同調査で性格と家電の使用方法の関係を調べたのですが、これは4年くらいやりました。どこまで深掘りしたいのかで期間が変わりますが、やり始めたら「こういうことも知りたい」となって延びたこともあります。長いときは長いのですが、短くてもそれなりのものはできあがりますよ。

──ビッグファイブ理論などのように歴史と積み重ねがあるものであれば、短い期間でも結果が導き出せるということですよね。ちなみにマーケティングに活用する場合、ビッグファイブ理論で導き出されるものはデータとして足りているのでしょうか?

例えば自社製品のユーザーの性格傾向を知りたいだけならば、ビッグファイブ理論の5因子を測定するだけで問題ないと思います。しかし、ユーザーの価値観や好みも調べたいとなると、ビッグファイブ理論の項目だけでは足りないですよね。そういうときは、例えばシュプランガーの価値観尺度などの項目も必要になります。

ビッグファイブ理論のどの因子も高いからいい、低いから悪いというわけではない


──ビッグファイブ理論といえば、各因子に高低があり、レーダーチャートのように見せると低い因子がへこむため、劣っているように感じてしまうという方がいます。どっちが良い、悪いということではないですよね?

もちろんです。どの因子も高いから良いというものではありません。昔は外向性が高いほうが望ましいというような風潮もありましたが、今は内向性の持つパワーも注目されていて、多数書籍化されています。外向性が高いと「落ち着きがない」、「熟慮しない」などの傾向も見られるので。

──他の因子と合わさって、それがポジティブに出ることもネガティブに出ることもあるということでしょうか?

ビッグファイブ理論 因子解説


環境が大きいですね。例えば外向性が高い人のほうが向いている職場というのがあります。人とたくさん会って喋るような、販売職や営業職ですね。反対に、あまり喋らなくてもいいような職場や、大人しくしていることが求められるような職場だと内向性が高いほうがいいわけです。

ちなみに販売・サービス業だと、話題がある程度必要なので開放性がちょっと高めに出る傾向があります。研究職や技術職だと外向性が低めに出ますね。事務職やプログラマーは神経症傾向が高めに出る傾向があります。細かいところを見たり、間違いがないように書類を作ったりする場面では、神経症傾向が高い人の「リスクに対する敏感さ」が良いほうに作用するということ。これはこれでスキルですよね。

──営業職だと、外向性が高くて、開放性も高いという感じですね。

あと、営業職だと勤勉性が低い傾向がありますね。勤勉性の低さは、ルーズさや計画性のなさなどに表れることがありますが、ルールに縛られない、柔軟に対応するといったプラス面もあります。ただこれが管理職になると変わってきます。営業職と管理職の各因子をレーダーチャートで比べると、ほぼ形は同じなのに管理職のほうが勤勉性が高い傾向があります。

年齢によってパーソナリティは変化していく


──性格傾向は、経験や環境で変化していくものなのでしょうか?



年齢でちょっと変化します。年齢が上がると勤勉性や協調性が上がっていくのが一般的。女性の場合は男性より神経症傾向が高めですが、年齢を重ねると下がっていきます。ホルモンバランスや体の変化が影響するのではないかと考えられます。男性の場合は、神経症傾向はあまり変化がないですね。
勤勉性は特に20代~30代で上がります。学生から社会人になり、組織や社会に適合していくことによって上がっていくわけですね。30代以降も勤勉性は上がりますが、上昇は緩やかになります。
協調性は40代にかけて上がり幅が大きくなります。子育てや会社での立場などで周囲に合わせたり調整役になったりしがちな年代ですよね。
一方で、外向性は生涯を通してあまり大きな変化がありません。

ただパーソナリティが変化していくというのは平均値で全体を見たときの話で、相関関係は変わりません。例えば、20代のときに仲が良かったAさん、Bさん、Cさんがいたとします。Aさんが一番真面目で、Cさんはちょっとルーズ。30代になると、社会人になるのでみんな勤勉性が上がります。そのため全体で見ると平均値は上がる。でもBさんからしてみると、Aさんは相変わらず真面目だし、Cさんはルーズだなと、変わらないということですね。


後編では、マーケティングでのパーソナリティ心理学の活かし方や、世界的に流行するMBTIについてお話を伺いました。ぜひこちらもチェックしてください!

お話を伺った人

愛知学院大学
心理学部 心理学科 准教授

谷 伊織 先生

愛知学院大学 谷 伊織 先生

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