ここからは実際にSNSマーケティングを始めるためにやるべきことを、手順を追って見ていきましょう。
<1> 目的やターゲットを決めるまずはSNSをどのような目的で運用するのか、どのような成果を得たいのかを整理しましょう。
企業のブランディングや、新商品やサービスの認知拡大、集客、情報発信などが考えられます。
合わせてどのようなユーザーにアプローチしたいのか、ターゲット(ペルソナ)を設定します。
ペルソナとは、年齢や性別、職業、ライフスタイルなどを具体的に決めたユーザーイメージのことです。ペルソナを決めることで、投稿内容などが検討しやすくなります。
また、企業のSNSでは運用担当者が変わることもありますが、こういった情報をアカウント開設前に決めておくことで方向性がブレにくくなります。
<2>適したSNSを選び、KPIを設定する次に、目的やターゲットに合わせてSNSを選びます。SNSにはそれぞれ特徴があるので、それを踏まえてセレクトしましょう。
◯X(旧Twitter)
・20代~30代のユーザーがメインだが40代、50代のユーザーも多い
・即時性が高く、リアルタイムな情報発信に強みがある
・フォローやリポスト機能を使ったキャンペーンなどが盛ん
・リポスト(旧リツイート)機能による爆発的な拡散が期待できる
・月額費用を払えば認証マークをつけることが可能
◯Instagram
・日本では10代~20代の女性ユーザーがメイン
・写真や動画など、ビジュアルに特化した投稿がメイン
・ファッションやインテリア、飲食、旅行など、写真映え・動画映えするサービスとの相性が良い
・24時間で消えるストーリーズやライブ配信機能なども利用可能
・ショッピング機能でECサイトに直接誘導できる
◯Facebook
・30代~50代のユーザーがメインで、他のSNSと比べると年齢層が高く、ビジネス層も多い
・実名登録を前提としたSNSで、リアルなつながりがメイン
・海外での利用者が非常に多く、海外に向けた情報発信で重宝する
・企業のFacebookページを作ることもできる
・友人の投稿が優先されるため、企業の場合は広告利用しなければリーチを伸ばしにくい
◯LINE
・日常的なコミュニケーションとして利用している人が多く、年齢層も広い
・LINE公式アカウントとして、友だちになったユーザーに情報発信ができる
・企業と個人がクローズドな環境でコミュニケーションが取れるため、チャットボットの活用も盛ん
・個人に直接情報を届けられるため、メルマガの代わりに運用する企業も
参考:
Webアクションはメールマガジン、リアルアクションはLINE。ユミルリンクとの共同調査でわかったマーケティングにおける強みと特徴。◯YouTube
・幅広い年齢層が利用する動画配信サービス
・人気YouTuberとのタイアップなど、インフルエンサーマーケティングも活発
・通常の動画投稿に加え、ショート動画やライブ配信機能を活用した情報発信も可能。いわゆる投げ銭機能も
・Googleのビッグデータをもとにした動画広告配信ができる
◯TikTok
・10代~20代の若年層の利用率が高い
・スマートフォンの画面サイズに合わせた縦長のショート動画の投稿がメイン
・流行ったダンスなどを真似る文化があり、ユーザー参加型の広告(ハッシュタグチャレンジ)も可能
SNSが決まったら、KPI(目標達成・評価のための指標となる数値)も設定します。
SNSにおいてはフォロワー数やインプレッション数、コンバージョン数、エンゲージメント数などの項目がKPIとして設定されます。
<3>運用定義書を策定するアカウントの運用に入る前に、運用定義書を作りましょう。
運用定義書とは、アカウントのコンセプトや運用の目的、KPI、運用業務のフロー、投稿内容のルールや方針、トラブル発生時の対処策、災害発生時の対応などをまとめた資料です。
企業アカウントは複数人で運用をしたり、担当者が変更になったりすることが多くあります。運用定義書があれば引き継ぎもスムーズになり、内部の体制が変わってもアカウントの方針がブレにくくなります。
<4>運用を開始する準備ができたらアカウント登録を行い、運用を開始しましょう。
アカウント登録時の注意点はこちらも参考にしてみてください。
参考:
イザというときに困らない! 企業SNSアカウント登録時の注意事項投稿内容と頻度は事前に決めておけると、スムーズに運用に入れます。
そのときに意識したいのが、冒頭でお伝えした「長期的な視野でアカウントを成長させていくこと」。
つい商品の宣伝など成果につながりやすい情報をたくさん発信したくなってしまいますが、それだけでは伸び悩むことも多くあります。
企業が発信したい情報だけではなく、ユーザーに役立ちそうな情報や、ユーザーとのコミュニケーションを中心とした投稿を心がけ、長期的にアカウントを育てていきましょう。
<POINT>SNSの運用にはなるべく複数人が関わることをおすすめします!近年、企業のSNSアカウントの炎上が増えています。
いわゆる「中の人」を立てる運用手法はユーザーに親近感を与えることができますが、個人的な考え方を投稿したり、話題になっている一般ユーザーの発言に反応したりすると、ときに「企業の広報としてどうなのか」「企業自体がこういう考えなのか」とみなされて炎上につながることがあります。
特にX(旧Twitter)ではアカウントがどんな投稿に「いいね」をしたのかまで見られてしまい、その様子が瞬く間に広まってしまうことも。
「中の人」を立ててアカウント運用をする場合でも、必ず第三者の目を通し、投稿内容やタイミング、運用方法に問題がないかをしっかりと確認しましょう。
<5> データを分析する運用を開始して一定期間が経過したら蓄積したデータを分析します。
KPIは達成できているか、何が課題になっているかを考え、改善点を探りましょう。
何度もお伝えしている通り、SNSマーケティングはすぐに成果が出るものではありません。PDCAを回し、長期的に運用していきましょう。